完璧メイドの神業ビフォー&アフター!? 『旅する少女と灼熱の国』 感想

 
 
 
副管理人の空間歪曲です。
今回はHJ文庫の『旅する少女と灼熱の国』について書きます。

 
 
 
 
 
ストーリー
 
 
内戦の続く熱帯の国・ガザッソニカを旅するメイド姿の少女、エリノア=ベイカー。
大切なひと、「マーガレットお嬢さま」を探す彼女は
あるときはその完璧なメイド術で、またあるときは卓越した闘技で、
戦乱に疲れたガザッソニカの人々を知らず知らずのうちに救ってゆく。
 
果たして彼女が再びお嬢さまとめぐり合える日は来るのか?(原文ママ

 
 
 
 
 
ここで反応する人としない人。
それでこれ以上ないほど明確に分かれる事がある。
 
 
それはMADLAXというアニメを知っているかいないか。
 
 
 
エリノア・ベイカというメイドにマーガレットお嬢さま。ガザッソニカにエリノアさんが元いた国であるナフレスと通貨単位のユール。
途中で台詞だけでの登場となるSSS(スリースピード)等、MADLAXを知っている人ならば全て聞き覚えのある単語だろう。
 
 
まあ、ユールという通貨単位からガングレイヴの可能性もあるし、ナフレスという国名から極上生徒会の可能性もあるのだが、ここは素直に解釈しておきたい。
 
 
 
一つだけ気になるのは、公式にもあとがきにも「MADLAXスピンオフ」という記述がない事。
あとがきを見るに、作者はMADLAXを知らずに設定だけ伝えられて書いたというのが正解のようだ。
 
 
2004年放送のアニメであるMADLAXのスピンオフ小説が何故、今このタイミングで出たのかは全く不明だが、
副管理人にとってMADLAXは2000年以降に放送されたアニメでのトップ3に入るほど高評価の作品だけあって、素直に喜びたいところ。
 
 
 
前置きはこのくらいにして本題に入りますが、既に書いたように、この作品はMADLAXを知っているかいないかで大きく意味が違って来る。
そこで今回はMADLAXなんて作品を知らない、という人と、MADLAX知ってるという人それぞれに対する感想を書こうと思います。
 
 
 
 
 
・MADLAX知らない方向けの感想
 
 
エリノアという一人のメイドを軸に展開されるこの作品。
メイドが登場する作品は今や珍しくもないが、それでも彼女は数多ある作品のメイド達とは一味違う。
 
 
彼女は強い。
別に戦闘能力云々の話ではなく(まあ、そっち方面でも確かに強くはあるが)芯の強さ、人間としての強さの話。
 
行方不明になったお嬢さまを探すため熱帯の紛争地域を単身、渡り歩き、少しでも手がかりがあると知れば富裕層の誘拐を行う組織のアジトへ出向くのは、なかなか普通のメイドに出来る事ではない。
それらは偏に彼女の忠誠心が高いからに他ならない。
 
 
副管理人は個人的に創作物のメイドに必要な要素は第一に忠誠心。
次に戦闘能力の高さだと認識しているので、最強かつ最高のメイドとは彼女を指すものだと勝手に思ってます。
 
 
 
紛争地帯は郊外ともなればかなり治安が悪い。
紛争地帯にメイド服という異質な組み合わせや整った容姿が否応なしに注目を集め、ゴロツキと変わらないような兵士に絡まれる事もしばしば。
 
そんな危機をエリノアさんは身に付けた護身術等々を駆使し颯爽と切り抜ける。
 
 
戦うメイドさんというのはそれだけでも素晴らしい側面があるが、この作品、別に魔法や特殊能力が出てくるわけでもなく、
現実世界に則っているので強いといっても限度があるので超破壊力を伴うバトル系を期待している方にはあまり向かないかも知れない。
 
 
副管理人は危機を脱したエリノアさんが何者か、と問われて
 
「エリノア・ベイカー。メイドです」
 
と誇らしげに答える姿にトリニティ・ブラッドのトレス君が
 
「俺は人ではない。機械(マシーン)だ」
 
と返すお決まりのシーンを思い出しました。
 
 
 
忠誠心が高く、強くて頭の回転も早い上にメイドとしてのスキルも高い。
そんな彼女の八面六臂の大活躍を見たい方には是非ともオススメしたい作品です。

 
 
 
 
 
・MADLAX知ってる方向けの感想
 
 
かつてMADLAXを視聴していた人にとってはエリノアさんについてあれこれ説明する必要はないだろう。
 
美人で強くてカッコよくて忠誠心が高く、ちょっとお茶目な一面もあるエリノアさん。
 
 
今作ではアニメ第6話にて、セカンダリーで暴走した生徒がマーガレットに掴みかかった時に明かされた近接戦闘能力の高さがより表に出ている形になっている。
他にも何かと芸達者な側面が提示され、ファンとしては嬉しい作品。
 
 
エリノアさん好きな人には説明するよりも読んでいただいた方が早いとは思いますが、あえて言おう。
 
 
アニメ第24話でエリノアさんは死んでいなかった!!!!
 
 
もう一度言います。
 
 
アニメ第24話でエリノアさんは死んでいなかった!!!!
 
 
 
(空間歪曲は何を意味不明な事を言ってるんだ)
 
とか
 
(あれで死んでないとか自分に都合のいい解釈しすぎだろ)
 
と思う方もいるとは思いますが、説明させていただきたい。
 
 
 
まずは表紙に目を向けたい。
大きな旅行鞄に座って優雅なティータイムを満喫しているエリノアさんが描かれているわけだが、よく見ると穴が空いて血で汚れたメイド服が見える。
 
そして、本編中には酒場の女主人から宿を提供してもらったエリノアさんが
風呂場で汗を流すシーンがあるが、そこで背中に痛々しい銃創がある事が描写されている。
 
 
MADLAX本編において、エリノアさんが銃弾を受け、血を流したのは24話に他ならない。
 
 
エリノアさんが24話でマーガレットに向けて
 
「あなたは……私の、家族です」
 
との言葉を残して崩れ落ち、マーガレットの「エリノア死んじゃった……」の台詞や、レティシアと会った描写。
加えてフラグのように差し挟まれた過去回想に、泣かせる意図しか感じられないBGMなどの点から死亡は確定事項だと思っていた。
 
だからこそ、放送当時、ネットでは追悼ムードと同時にエリノアファンから悲鳴と絶望の声が上がり、空間歪曲は24話を見るたびに嫁が死んだ事に涙していた。
 
 
しかし、血に濡れたメイド服やエリノアさんの背中の銃創等から24話以降の時間軸だと推定される『旅する少女と灼熱の国』でも
エリノアさんはマーガレットを探して元気にガザッソニカを旅している。
 
 
これは今までのファンの(エリノアさんが死んでいたとの)認識が覆された事になる。
 
唯一の不安材料は、本編中、描写こそなかったが何度か傷を負っていて、背中の銃創もその時の物でしかないという可能性があるが、
そんな本編中で全く提示されていなかった事を仮定するくらいなら、本編と今作とを照らし合わせてエリノアさんが生きていたとする方が自然だろう
 
 
これほど嬉しい事があるだろうかと思う反面、エリノアさんが生きていたなら
今まで流した涙は何だったのかと複雑な気持ちになったりもするわけだが、とにかく生きてて良かった。
 
 
 
ちなみに『旅する少女と灼熱の国』に対して新シリーズ始動、という一文もどこかで見た気がするのだが思い出せない。
 
シリーズ化が公式情報か分からないのが難点ですが、仮に今後も続きが出るならその都度、感想を書いて行きたいと思いますのでよろしくお願いします
 
 
 

 
 
旅する少女と灼熱の国 (HJ文庫)

旅する少女と灼熱の国 (HJ文庫)