ルカの同人誌が早い時間で完売した事に動揺を隠せないナギ。
そしてそれに追い討ちをかける声。
「このセットのまんが、つまんねーしいらなくね?」
「絵も下手だしなー」
「ゴミ箱に捨てておこう」
目の前ではっきりと自分の同人誌が不要だったと突きつけられるナギ。
その向こうで交わされる
「もう一冊ないですか?」
「すいません、もう完売しちゃって」
という会話。
ルカのサークルを次の機会のためにチェックする人々。
そして完売を喜ぶルカとヒナギクさん。
なりたかったんだ。
私は……特別な何かに……
私が――――あんな風に――――
突きつけられた現実の重み。
それはルカと着ぐるみ越しに目が合った瞬間、ナギの感情を爆発させるには十分だった。
(ルカのやつ……!!)
と胸中で悔しさを噴出させながら駆けるナギ。
これでルカ編冒頭のシーンにようやく繋がったな。
屋上でナギは涙目になりながらハヤテを問い詰める。
「どこでこんなに差がついてしまったのだ!! 私だってやっただろ! 売れるように一生懸命!!」
ハヤテはナギにルカの同人誌を見せ、ナギがサイトを作っている間も、ルカは読者を喜ばせたい一心で、ただひたむきに描いていた。
差がついたのならその一点だけだと指摘。
意気消沈したナギはマリアさんの写真集と自分の同人誌を別売りするよう指示。
以前、真泉が言っていた
「大量の在庫を抱えて帰るという事を味わえ」
と言っていたのが現実になってしまったな。
ナギの同人誌が「インポータント刑事」のままだったのも個人的には注目しておきたい所。
これは推測でしかないが、ナギは足橋先生の仕事場で自分の実力を痛感した反面、自分が思い入れを込めた作品をリセットするのは嫌だったんだろう。
むしろそれを何とかして売ろうとした結果がマリアさんの写真集とのセットに違いない。
その結果がゴミ箱行きでは全く意味がないのだが。
ハヤテはオブラートに包んで表現しているけれど、要は努力が足りなかっただけの話。
「売れない物を売るのが営業だ」
などと言って、営業努力だけに尽力して自分の同人誌のクオリティを向上させる努力をしなかったナギがルカと同じ土俵で戦う事自体、間違っていたと思う。
とは言え、今回の失敗は全てナギの成長のための布石だろう。
前回も書かせていただいたが、この敗北はナギが他者の意見を素直に受け入れて作品の質そのものを向上させるためのイベントであるように思える。
・不条理設定の排除
・作者であるナギだけが理解できる面白さを追求しない
この二点だけでも改善すれば相当、マシになるだろう。
問題は作画なのだが、ナギの作画が過去に提示された物で安定してしまっているならば作品評価に対して作画の占める割合が大きい以上は問題になりそう。
ただ、柔軟に絵を変えられるなら、それに越したことはない。
とりあえず、線を全体的に細くするだけでも変わって見えるはずだ。
ナギの進化に期待したい