ハヤテのごとく! 第297話 「You&Me」

 
 
 
 
ルカと会う事になったナギは改めて、彼女が描いた同人誌を読み返してみる。
 
 
 
それは不思議な同人誌だった。
主人公は一匹の出来そこないのイルカ。
他のイルカのように速く泳ぐ事も、超音波を使ってコミュニケーションを取る事も出来ない。
 
 
水族館で一番の曲芸イルカになりたかったはずなのに、なぜか腕っぷしの強さを買われて警備員。
強盗が襲ってきて目覚めると違う星。
 
 
「こんなはずではなかったのに……」
イルカは悩むが面白おかしい不幸は続き、気がつけば戦場。
守らなくてはならないものがあるから戦うが、結局それに裏切られ、借金まみれ。
 
 
かつて見た夢を想い途方に暮れる孤独なイルカ。
いつの間にかとんでもない場所に流れつき信じられない不幸にみまわれる。
 
 
そんなイルカの苦悩の日々をおかしく描いた、32ページのギャグまんが

 
 
 
 
人間は一人も登場せず、表情のない動物ばかりが登場する「傭兵シャチ」。
それがルカの同人誌だった。
 
 
ナギ「どういう人生を歩めば、こんな前衛芸術みたいなまんがを描こうと思うのだ?」
 
 
お・前・が・言・う・な・!!
 
 
あくまで個人的な意見ではあるが、ナギの(本人が言う所の)「落書き」よりも「傭兵シャチ」の方がストーリーもしっかりしているし、何より面白そうだ。
加えてナギのは前衛芸術と言うより荒唐無稽と言った方が的確なレベル。
 
仮にナギの漫画とルカの同人誌をどちらか買えと言われたら自分は後者を選びます。
 
 
 
色々あるんだよ、の一言であえて多くを語らないまま、会ってからのお楽しみだと言う千桜さん。
彼女からすればルカは色々と助けてやるだけの価値がある人間なんだとか。
 
 
 
 
その頃、ルカは負傷した身体でありながら仕事を始めようとしていた。
痛みを気力で我慢しているルカを心配するハヤテだが、ルカは行かなければならない、と決意。
 
ちなみに、人によってはどうでもいい事だろうけど、ルカは“バカバカ”と言うのが口癖の模様。
わりと可愛いな。
 
 
ヒナギクさんには劣るけど
 
 
 
 
そして、ナギは千桜さんに連れられ、ある場所へ辿り着く。
 
 
大勢の熱狂する人々。
大音量に眩いライト。
 
 
わけもわからないままのナギの前に現れたのはステージに立つ一人の少女。
彼女こそ、「傭兵シャチ」の作者であるルカこと、水蓮寺ルカだった。
 
 
 
 
 
 
それが、一生忘れる事のないルカとの出会い。
 
 
 
神様みたいだ――――と思った。

 
 
 
 
 
 
こうしてナギはついにルカと出会った。
最後の一文だと、ナギとルカを主人公にした百合漫画とかできるよね。
百合だとハヤテとナギの関係性の問題も解消できて一石二鳥だし、とアホな事を考えたりもしたが、それは置いておく。
 
 
 
 
自分は今まで理由は分からないが、ルカの仕事をどっかのお屋敷のメイドか何かだと思っていたのだが、その本当の職業はまさかの歌姫(厳密には歌と決まっていないのだけれどたぶんそうだろう)。
 
 
即売会の関連イベントか何かなのだろうが、凄まじい動員数である事から、かなりの人気がある事は想像に難くない。
 
 
 
確かルカはハヤテ同様に莫大な借金を抱えていたはずだが、これだけ人気の歌い手(仮)ならば、ハヤテなどよりもよっぽど完済が速いだろう。
どん底の状態から彼女がどうやって今の位置にいるのか、など気になる所は多いけれど、それは今後、徐々に明かされて行くに違いない。
 
 
 
 
ただ、これだけのステージで歌っている(まあ、まだ歌とは決まっていないけれど)にもかかわらず、同人誌が数冊しか売れていないという事は、ルカが自分の同人活動を千桜さんのような一部の人間を除き、一般には知らせていないという事だろう。
恐らく、本来、やりたいのが漫画と言う分野、そして表現方法であり、ステージの方は何らかの理由があって立っていると言う事だろう。
 
 
加えてルカは自分の人気を利用する形で売るのではなく、人気者という色眼鏡を通さない素のままの自分の作品を読んで貰いたいのだろう。
少なくとも自分はそう感じた。
 
 
 
 
今週、こうしてルカに出会ったナギだが、それが
 
(ルカの奴!!)
 
にどう繋がって行くのか非情に気になるところ。
 
300話まで残り3回。
まだまだ盛り上がりが加速し、新たな人間模様も面白みを増してきたハヤテに今後も期待したい