はやて×ブレード #30 「バカフィールズ・フォーエバー」

 
 
 
前回、玲の太刀筋がひつぎ会長を捉えたとも見える所で終わったはやて×ブレード
どっちが負けてもおかしくないハイレベルの頂上戦。
 
ひつぎ会長派の副管理人は
 
「まあ、確かに必殺の一撃が届いたようにも見えなくないけど、まだ分かんないもんね」
 
などと自分に言い聞かせていたわけだが、今月のはやて×ブレードのページを開くなり目に入ったのはひつぎ会長に叩き込まれた攻撃の軌跡だった。
 
 
 
玲「……どーだ、終わらせてやったぞ」
 
 
 
凄まじい疲労感。
そして全く嬉しくも何ともない勝利。
それでも確かに目的を達成した。
 
 
玲がそう思って勝利を宣言しようとした次の瞬間、黒く染まったのはひつぎ会長ではなく玲の白服だった。
ジャッジすら見極めが難しかった判定だが、玲自身が何よりも理解していた。
自分が負けたのだと。

玲の口から弱音が漏れた。
 
「ホント、あんた鬼だな。こんだけ面白くして、どんだけ好きだったか思い知らせて。でも、勝ちだけはくれねえのな」
 
それを

「言ったはずよ。削ぎ取れと」
 
と突っ撥ねるひつぎ会長。
自分には足りていなかったのだと負けて再認識した玲。
頂上戦の最中はただ星を獲る事のみに意識が向いていたが、負けた今なら冷静な思考が出来る、という事だろうか。
そして玲は恐らく初めてひつぎ会長に頭を下げた。
 
 
「頼むよ。紗枝を……助けてくれ」
 
 
玲自身が何とかしようとして終に届かなかった目標。
だが、ひつぎ会長なら違う。
 
 
玲から見れば「全部持っている」ひつぎ会長。
一つくらいくれと本音を口にしてまで挑んでも結局は奪えなかった高みに在り続けるひつぎ会長。
そのひつぎ会長ならば、恐らく、玲の言うように紗枝を助ける事など容易だろう。
 
 
 
 
 
 
ひつぎ会長「絶ッ対にイヤよ」
 
 
 
 
 
 
これが笑わずにいられるものか!
 
あの玲が懇願までしてみせたのにこの返答。
見開きで、しかもめっちゃいい笑顔で!!
流れシリアスだったのにそれを意にも介さずぶち壊すひつぎ会長、あなた最高ですよ!!
 
 
静久「会長! そんな即答な……事情くらい訊いてから!!」
ひつぎ会長「だってわたくしの勝ちだーものーー。くやしかったら異論反論オブジェクション」
静久「小学生ですか!!!」
 
 
 
玲……。
お前は泣いてもいい。泣いてもいいんだ。
 
 
そんなひつぎ会長から玲に差し出されたのは“天地学園の全て”――学園の権利書だった。
それは本来ならば、ひつぎ会長の打倒をもって手に入るはずだった代物。
そしてそれを差し出すことで本家の長子かつ女児である玲が
 
“後継者は男児のみ”
 
をしきたりとする神門家の継承者としての資格を得られる。
 
ちょっと違和感あったけど、これ明言されてなかったか。
今までにニュアンスでだいたいの事情は伝わって来てたから疑問に思わなかったけど。
 
 
ひつぎ会長「天地家家政婦長、市原さんのおつかい諜報術は侮れないわ。どんな情報も地域の商店街に溶け込み、主婦達を操って――」
静久「そういう話は今はいいです会長」
 
 
からしたら本当にどうでもいいよな。
 
 
繰り返すがこれは本来、勝利と共に得られるはずの代物。
それを渡すことこそ、ひつぎ会長が敗者である玲に課した罰ゲームそのもの。即ち
 
「負けてなお、情けで手にした戦利品を持ち帰り生涯の屈辱とする。受け入れるかはあなたの自由」
 
というとてつもない罰ゲームだった。
 
 
ひつぎ会長が厳しい?
とんでもない。
 
敗者が求めたものを条件付きで渡してやる必要なんてない。
 
 
ならばひつぎ会長は甘いか?
とんでもない。

生涯に渡る屈辱を強いるのだから甘いわけがない。
厳しくもあり甘くもある。
匙加減が素晴らしいと言えるだろう。
 
 
 
そして玲は受け取る事を選択した。
自分が屈辱を味わう程度、今の玲にとってさほど重要ではないはず。
きっと、ひつぎ会長もそれを理解した上で選択肢を突きつけたのだろう。
 
 
 
だが、結果として、ひつぎ会長が学園の権利書を渡した事に変わりはない。
それに気付いた生徒が騒ぎ出したのを
 
 
「――はい!!!」
 
 
 
と手を合わせて抑えるひつぎ会長――と手を打ち合わせた事で発生する衝撃波。
 
相変わらず規格外だな。
少なくとも手を打ち合わせたのにパン、ではなくズシン、なんて効果音するキャラ見たことないもんな。
衝撃波の発生で生徒が悲鳴上げて別の意味で騒がしくなってるのを意にも介さないひつぎ会長。
 
 

「アテンション皆さん。天地学園、お引越しです」
 
 
 
……は?
 
とはその場の全員の心情。
静久が「もう少し説明して下さい」と律儀にツッコミ入れてるのが妙におかしなものを感じさせる。
 
 
 
「頂上決定戦はわたくし達、天地・宮本組の勝利ですが――
 
わたくし自身、力を出し切れず非常に不本意
なのでお引越し」

 
 
などと全く説明になってない説明を笑顔でする会長。
あんだけ高レベルな頂上戦を繰り広げておいて、力を出し切れず、とかひつぎ会長の底が見えない。
まあ、相手の強さに焦るひつぎ会長ってのも何だか違う気がするけど。
 
なんでも現在地から火風水岳を挟んだ向こう側に天地学園開校時の施設があり、そこへ移動する形になる模様。
 
「学園の頂点が断ち合いに己を尽くせぬ様では、まだまだ不足しているという事。わたくしの天地全生徒の皆さん。どうか今一度始めることにご理解を」
 
 
 
そしてひつぎ会長は胸に手を当て、優雅に一礼
 
「始まりの地で誰ひとり、わたくしの背から零れる事無く、共に更なる輝きを求め参りましょう」
 
 
 
決めるときはきっちり決めてくれる。
そこが素晴らしい所だ。
 
 
玲の後を意味もなく追いかけるはやて達も同じ事を考えていた。
 
なくなったらまた作ればいいと。

天地が無くても剣があれば勝負は出来る。
剣待生は剣さえあればどこでも天地。
ここが天地と思えば剣があっても無くても、どこであろうと天地だと。
 
 
そう結論付けた観戦者全員に万雷の拍手を送られる我らがひつぎ会長。
権力あるだけではなく、一定以上に信頼を集めてないとできない芸当だよな。
 
 
なんていうか、
天地学園そして剣待生の在り方についての答えが完全に出たし、もう最終回でいいんじゃないの?
と思いたくなる綺麗な終わり方だった。
 
そして、綾那ではないものの、桃香に「浅倉サン」とちゃんと名前呼ばれて
 
みずちさん「あの子たちが……あの子たちが私を浅倉さんと……!!」
蒼ちゃん「名前呼ばれた事なかったですよね! ここからが始まりですよ、みずちさん!!」
 
と感涙してるみずちさんと喜ぶ蒼ちゃん。
名前で呼ばれた瞬間のみずちさんが可愛すぎる。
 
 
ゆくゆくは綾那に名前で呼んでもらおうね、みずちさん!!
 
 
 
…………今月号で誰かの親族だと勘違いされてたけど。
 
 
 
 
さて、今回で最高に盛り上がったひつぎ会長・静久 Vs 玲・紗枝の頂上戦は完結。
次回からはまた新たな展開が始まるのだろう。
 
とりあえずは玲側の事後処理からかな?
ただ、生徒が全部、「新・天地学園」(仮)に移動しちゃったら学園としての価値が皆無になるがいいんだろうか?
神門側は土地さえ欲しけりゃいいとか、そんな感じか?
 
 
玲と紗枝の二人を取り巻く問題が平和的に解決するよう期待したい
 
 
 

 
 

はやて×ブレード ウルトラドラマCD さんばん星! 漂流つめあわせ!

はやて×ブレード ウルトラドラマCD さんばん星! 漂流つめあわせ!