ハヤテのごとく! 第289話 「すべてのまんが家がこうだと思ってもらいたい」

 
今週のハヤテのごとく! のレビューをお届けします。 
  
 
 

   
☆ 今回のサブタイトルの元ネタ 
 

吼えろペン (サンデーGXコミックス CHRONICLE)

吼えろペン (サンデーGXコミックス CHRONICLE)

 
吼えろペン
「すべてのマンガ家がこうだと思っていただきたい!!」
かと思われる。
 
 

 
 
 
自分の描いた漫画をプロの足橋先生に見てもらうため仕事場の前までやって来たナギ。
ナギにとっては大事なファーストステップだけに緊張は否応なしに高まる。
 
と、ここで西沢さんが今更ながらにナギがどんな漫画を描いているのかに興味を持ったため、少し躊躇しつつも原稿を見せるナギ。
その内容がこちら




インポータント刑事(デカ) 〜あらすじ〜


喫茶・刑事(デカ)につとめるお花屋さんの看板娘イン・ポータントは魔法の力でパスタを見事なアルデンテに仕上げるプロの狼男だ。
 
今日も今日とて宇宙からの侵略者メソポタミヤ文明とプラモ・インで戦う日々。
 
敵の傷物ダイヤを高額で売りつける攻撃にうっかり200億つぎこんでしまったイン・ポータント。
 
果たして日本の株価は再び4万円代に突入するのか?
次号、詰むや詰まざるや!?
 
 
 
 
うん、相変わらずだ。
試作品なのに次号の想定をしているあたりすらツッコミ所としては生易しいレベル。
これを自信作としているあたり、やはりナギは色々とダメだ。
そして、漫画家として確固たる地位を築いているであろう畑先生がこれだけカオス臭のする話を設定できるという点も逆に凄いと思う。
 
 
 
だが、これを読んだ西沢さんは
 
「ナギちゃん、まんがとっても上手だね〜」
「13歳でこんなに上手に描けるなんて凄いよ。尊敬しちゃう」
 
と意外や意外に高評価。
これではナギが
 
(やはり私は天才だったか……!!)
 
とアホな事を考えても仕方が無い。
実際には漫画を読まない西沢さんはそもそも面白さを求めていないので内容のおかしさが苦にならないというだけの事。
その人にとって全く興味が無い分野は、作り手が体裁さえある程度、取り繕っていれば問題ないように見えるのと同じ。
ていうか、今回、マジに西沢さんいる意味ないな……。
 
 
だが、当のナギは今から連載の準備でもしないとダメだと鼻高々。
素人の西沢さんの評価で満足するあたりがナギの判断力の甘さを露呈させているが、テンション上がると人間、判断力が著しく低下するものだから仕方ない。
 
 
 
 
自信をつけたナギは足橋先生の仕事場に突撃するが、そこで出会ったのは読者の何割かは存在を忘れてたんじゃないかと思うほど最近、欠片も出番がなかった東宮君。
前に出たのはハイキングでアテネ編の前だからもう余裕で一年以上、出番がなかったわけだが、ここに来て久しぶりの登場となった。
何でも家族が漫画家やってる関係でアシスタントやらせてもらっているそうな。
 
 
 
 
一方、肝心の足橋先生は〆切を既に四日経過した上に二徹で完全にアウト。
残り三時間で原稿が落ちるという危機的状況を脱するため、ペン――ではなく中華ナベを手にしたハヤテは特製ドリンクを高速で調理。
仮眠していた足橋先生はその凄まじい効果(とたぶん味)で強制的に叩き起こされる。
 
 
しかし、いくら回復したとは言え、残り三時間で完成するのか不安を隠せないナギだが、足橋先生の目には自信が満ちる。
 
「こう見えても僕はプロ、プロのまんが家。できない事ができるから、僕はプロを名乗っている!!
 
見る見るうちに完成する原稿。
プロの作業現場を初めて目の当たりにしてナギは衝撃を受けるが、それ以上の衝撃をナギが襲ったのはその直後だった。
 
 
 
 
 
ハヤテと東宮君が足橋先生のアシスタントをやり、西沢さんとナギがハヤテの手伝いをする形での流れ作業。
そこでナギは生まれて初めてプロがプロの技術をもって描いた原稿を目にする事となる。
 
 
ナギは今まで自分や伊澄さんのような素人の描いた原稿しか目にして来なかった。
それゆえにプロとの技術差を知る機会はなかったが、足橋先生の原稿を目にした瞬間、技術力の差を目の当たりにし、激しいショックを受ける事となる。
 
そして、ナギはようやく自分の未熟さを悟った。
 
 
 
落書きだ……。私がまんがだと思って描いていたものは、落書きだった……」
 
 
 
 
来た来た来た来た……!!
この展開を待っていた。
 
ナギの漫画を主軸にする上で絶対に避けられない問題だった、ナギが自分の作品がダメだと自覚するという流れがこういう形で到来した。
 
 
これでようやく第一段階は完成した。
次にナギが自分の未熟さを理解した上で、直すべき部分にメスを入れる第二段階と、それを経て形になる作品を作る第三段階へと続くに違いない。
 
 
挫折と復活はキャラクターの成長を促す最も重要な要素の一つだが、今回、ようやくナギにとっての大きな挫折が到来した。
これでナギの漫画に対する捉え方に対して非常に大きな革命が発生した事になるだろう。
 
 
 
次週から描かれるナギの成長に期待したい