史上最強の弟子ケンイチ 第397話 「仇討ち」


次々と繰り出されるコーキンの攻撃を流水制空圏第二で凌ぐ兼一。
だが、コーキンに後の先の技だ。自ら攻める度胸がないのかと言われ、挑発に乗ってしまう兼一。

首に思いっきり打撃を浴びるが、コーキンは首を折るつもりで攻撃したらしい。


「これで首が折れないだと? 軽いホラーだな」

お前の師匠の存在の方がよっぽどホラーだよ!!




冷静さを欠いた兼一にアパチャイは冷静になれと忠告するが、兼一は
「熱くならずにいられますか!! この戦いは昔、体育祭で殺されたボク自身の仇討ちなんです!!」
と激昂。


それを聞いて不敵な笑みを浮かべたのはアーガードだった。
アーガードは敵でありながら兼一の言葉の真意を正確に読み取っていた。



兼一が、かつて自分が死んだ事で泥を塗ってしまった師匠達の各流派の汚名返上を目的としている事。
さらに、コーキン相手ならムエタイ以外で戦えばいいのにあえてムエタイしか使っていない事を指摘する。




これはアパチャイとの修行中に思わず空手で防御してしまった事にアパチャイがイジケて以来、修行中に他流派の技を使わないようにしていたからだそうな。
今回もアパチャイが傍にいたとは言え、どちらかと言えばムエタイで戦っていたのは無意識に近いのだろうが、アーガードはそれをアパチャイと拳を交えながらそれを見抜いていた。



「実に義理がたい、よい弟子だ」


アーガードは戦いの最中にもかかわらず、兼一の肩に手を置き告げる。



「ありがとう。心から礼を言おう。アパチャイの弟子が、君のような男で本当によかった」

「師は弟子を育て、弟子は師を育てる。武術とは、そういうものだ!!」



一呼吸おいて再度、繰り広げられる弟子と弟子、師と師の激突。

拳を交えてアーガードは悟る。
アパチャイが自分といた頃にはマスターしていなかった手加減を習得した事を。


「いいだろう、お前たちは殺さずにわれらを倒す……。そしてわれらは、お前らを殺す!! その条件で決着をつけよう!!」



台詞と共にアーガードとコーキンの蹴りが繰り出されたところで今週は終了。






次回は巻頭カラーだそうだが、一影九拳相手に始まって少ししか経過していないので、そうそう手軽に終わらないとは思いたい。
逆鬼がセロ・ラフマンと戦った時のように因縁がない相手ならまだしも、アパチャイとアーガードの一戦ともなれば、岬越寺師匠とアレクサンドル・ガイダル程度の長さが欲しい所。




ただ、今週のケンイチを読んで思ったのはアーガードの人物像の意外性。
アーガードはどちらかというと自信過剰で傍若無人なタイプかと思っていたのだが、読み終えて、正義の人ではないにしろ、どこか武人としての信念を持った人物のようだという印象を受けた。
「もし自分の弟子が一なる継承者に選ばれても他の流派の秘伝を覚えさせるつもりはない」(うろ覚えですいません)
という台詞あたりで他の一影九拳より小者臭がしていると感じていただけに意外ではあった。




だが、思い返してみればアレクサンドル・ガイダルも狂気だけでなく芸術性と弟子に対する愛情に加え、武人としての潔さを有した人物だったし、一影九拳と言えども絶対悪ではないと改めて認識した。




まあ、シルクァッド・ジュナザードと緒方一神斎は同情の余地もないクズであるのは間違いなさそうだが。




ケンイチのレビューは久しぶりなので上手く書けているか自信がないので、見づらい文面だったら申し訳ありません