ハヤテのごとく! 第321話 「ハイスペックアドバイザー」

 
 
 
「私はナギみたいに漫画には詳しくないけど、それでも感想を言っていい?」
 
 
ヒナギクさんの提案にルカは食い付いた。
ルカが求めていたのはそういう意見だった。
 
ルカを知っている千桜さんではルカに気遣って的確なアドバイスが出来なくなる。
その点、知り合ったばかりかつ漫画に疎く一般的な感性を持つヒナギクさんならば自分の作品のダメな所を指摘してくれるはず。
 
 
まさに、ヒナギクさんこそ、ルカの求めた人材だった。
だが――

 
「イルカが主人公だと感情移入がしにくいんじゃないかしら」
「ストーリーがどこに向かっているか分からない」
 
と厳しい指摘がルカを襲う。
このあたりは人によるだろう。
 
イルカが主人公なのはそういうものだと受け取れる人間ならば問題ないだろうし、ストーリーの混迷度合いも不条理ギャグ漫画として認識するならば問題ないのかもしれない。
 
 
だが、人によるというのは文字通り、人によって差が生じるわけで、ヒナギクさんからすれば指摘すべき問題点だった。
だから躊躇せずルカに伝えた。
 
ヒナギクさんには確信があった。
ルカの年齢であれだけの歌と踊りをこなせるようになるには才能以上に血の滲むような努力をして来ている。
だから、心の痛みを乗り越える術を身に付けていると。

 
 
そう言われてダメージを受けていたルカはどんな意見だろうと受け止める決意を固めた――が、
 
 
「――ていうか見づらい」
 
 
と根元から一刀両断され撃沈。
 
 
だが、それに負けじと、今後も自分の作品を見て欲しいと頼むルカに快く応じるヒナギクさん。
漫画に詳しくなってもっと的確なアドバイスをしたい、と決意を新たにするヒナギクさんだが、ルカは急に胸を押さえて倒れてしまう。
 
 
腹部を押さえて倒れたなら空腹のあまり倒れた、とかギャグ的な方向で片付けられそうだが、胸部となるとそうも行かない。
これで発病のハンデをルカが背負いでもすればナギとの対決(仮)に緊迫感が加わりそうだが、果たして……